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1000文字小説 いるか堂

Category : 掌編小説

9月末日を〆切りにした掌編小説第3弾……しかし、あまりの多忙さに書けず。
二ヶ月の沈黙を破り、やっと復活です。長かった!!
お題「描く」ジャンル問わず。
今度の舞台はお寺。
副題「謎解きはお経の後で」ってをいwww

いるか堂


「あの」と背中で声がした。
 そらきた、と思いつつ、黙って筆を走らせていると、ジリと畳の擦れる音がした。
「あの!」
「何?」
「聞こえてるじゃん」
「当たり前だ」
 バケツに筆を放り込み、胡座のまま体を入れ替えると、仁王立ちの少女と目があった。高校生だろうか、肩に鞄をかけ、カーディガンのポケットに手を突っ込んでいる。ついと目線を戻すと、健康そうな太ももの隙間からご本尊様が見えた。罰当たりな話だ。
「お前」
 俺はため息と共に肩を落とした。
 まただ。またこのパターンだ。何でこんな小さな寺にばかり次から次へと問題児がやって来るんだ。ここは駆け込み寺か?東京だぞ。御茶ノ水だぞ。田舎の大寺じゃあるまいし、いったいぜんたい俺が何をしたって言うんだ。
「まず靴を脱げ靴を」
 呆れ顔で諭すと、少女は「あそっか」と言って脱いだ靴を縁側に揃えて戻ってきた。
「それで?」と頭をひと撫でする。少々伸びてきた髪がザラリと手の平を擦る。少女は俺の頭をマジマジと見つめ、「お坊さんだ」と当たり前のことを呟いた。今さら過ぎるだろ。
「用事は何だと聞いている」
「あたしりほ。里の稲穂で里穂」
「それで?」
 里穂と名乗った少女は、意外にも畳に正座し、キョロキョロと本堂を見渡している。欄間から差込んだ西日が、ガランとした座敷の中に七色の影を落としていく。
「何描いてたの?」と里穂が訊ねた。
「趣味でね、思い浮かんだ風景を描くのさ」
「お坊さんなのに?」
 何の関係があるんだ?と首を傾げる。どうもこの女といると調子が狂う。明美ちゃんの方がまだマシだ、などと俗世に思いをはせていると、里穂が庭の蓮池に目を留めたまま呟いた。
「見つけて欲しい物があるの」
「だろうな」と相づちを打つ。「何で?」と聞きたげな里穂の顔をよそに続きを促すと、里穂は一瞬躊躇ってから顔を上げた。
「見つけて欲しいの。あたしを殺した男を」
 ふわり、と風が舞い込んだ。
 下校時間なのだろうか、門の外から子供達の話し声が聞こえては消えた。ふむ、と頷いて無精髭を撫でる。少女の拳が震えていた。
「分かった」と俺は立ち上がった。
「え?」と里穂が顔を上げた。
 俺は少女に画用紙を差し出した。絵を見た途端、里補の顔が強ばった。
「これあたしん家……誰この男」
「行くぞ。靴捌け」
「行くってどこに?」
 里穂は絵を放り投げ、俺の僧衣の袖を引いた。俺は少女の頭を優しく撫で、いつもどおりの笑顔を向けた。
「決まってるだろ。そいつの所さ」


テーマ: 自作連載小説
ジャンル: 小説・文学

コメント

お疲れ様!そしてお帰りなさい!

お久しぶりです。そして待ってました!!

実体のない彼女に「靴を脱げ、靴を」とは。
さすがお坊さんですね、慣れている(笑)

このまま続編が読みたくなってしまいました。

お仕事大変そうですが、風邪には気をつけて下さいね。

おかえりなさい~~!^^

待ってました!楓さんの小説~♪
そして、なんですかこの面白い掌編小説はっ!
これ、続きありますよね??ありますよね??(笑)
絶対続き書いて欲しいです!><。
てか、この物語を短編なり長編なりで読みたいですっ♪

1000文字でここまで描けるのか…といつもながらに唸ります。すごい。
シリアス過ぎず、少し緊張をほぐしてくれる箇所も織り交ぜてて。でも、最後で一気に引き締める。素晴らしいのです。
今から大きく物語が動き出しそうな余韻。これは面白い♪
なるほど、こういうのもイイ!と新たな切り口を見させていただきました♪ありがとうございました^^
ご多忙の中、お疲れ様でした★お体には気を付けてくださいね♪

>AKARIさん

こんにちは。
いの一番に発見してくださり感謝です♪
長らくお暇を取らせていただいていました。
待っていてくださったこと、とても嬉しく思います!
里穂の足の描写や「靴」のイメージを植え付けたのは、すべてラストに繋げる伏線だったわけです。
この和尚、ただ者ではないです。笑
敢えて突っ込みどころ満載なテイストに仕上げています。
もちろん、続きを見据えて。
そもそも里穂は本当に死んでしまっているのか、なんてね。
まだ忙しくはあるのですが、何とか小説を書くくらいの時間は取れるようになってきました。マイペースで頑張りますっ!

>chachaさん

こんにちは。
お待たせいたしました!
二ヶ月も……長かったです(>_<)。
続きはね、ありますね。
そもそもこれ、仕事に忙殺されている最中に構想だけ閃いたんです。僕は大阪駅から歩いて会社に行くんですが、その途中、街中の路地にポッカリと建つお寺があってですね、「これ、何か面白いな」って。
シリーズ短編にしたいです。
なので、今回は「お披露目」な感じで書きました。
突っ込みどころが多々あるのもそのためです。
まずはAKARIさんとchachaさんが思惑通りの反応を見せてくださったので、「やたあ!!」て感じです♪笑
ちなみに写真は打合せでよく行く東大地震研のそばにあるお寺です。何気に門の幕に「三ツ葉葵」……徳川の由緒かな?

仕事は少し落ち着いてきました。
まだ頻繁に更新とまではいきませんが、ぼちぼちリハビリしながら書いていこうと思います。そういう意味でも掌編小説の第四弾を企画してもいいかも、なんて考えてみたり。
そんなわけで、ありがとでした!

かっこいいですー

おはようございます、楓さん^^
お帰りなさいませです、お仕事お疲れ様です!

お坊さん、かっこいい!
そらきた、とか、だろうな、とか、里穂ちゃんが現れるのを分かっていたような言葉。そして、すでに描いていた絵。
ぶっきらぼうな口調と態度だけど端々に現れる優しさとか、さらりと行動に移すところとかなんだかもう、つぼですっ。かっこいいですっ!
続きがあるんですね^^
読み終えた後、コメ返みたらシリーズ短編!
楽しみにしています^^

私的、お寺さんの写真にも食いつきました。
佇まいが、とても素敵ですね。
文京区はたまに行く場所なので、見つけられたら嬉しいなーと^^
お寺さん、好きなのです^^
ではでは、続き楽しみにしています!

うんうん♪

街中の路地にポッカリと建つお寺…いいですよね^^
そんな何気ない風景を見て閃くなんて、やっぱり楓さんは根っからの物書きさんだわ♪(笑)
そしてkazuさんのコメントを読んで、いつも「しっかり読み取ってるなぁ」と尊敬しちゃいます。
書き手としては、そうそう!そこ注目して欲しいんだよね!的なところをしっかりキャッチしているというか…
私もそんな感想を残せていけるようがんばろう(汗

シリーズ短編、すっごくイイですね!楽しみにしてますよ~!^^

でで。
私も近頃忙殺気味…
続きが書けなくて辛いのです;;
でも、掌編小説ならば…!広告が出ちゃう前になんとか!(笑)
今度のお題はkazuさんになるのかな~?^^
お互いぽちり、ぽちりと行きましょう♪

>kazuさん

こんにちは。ただいまです。
里穂も謎な少女ですが、この坊主はもっと謎です。
里歩が来ることはおよそ見当がついていたようで、その内容も何となく分かっていた。おそらくそれは、坊主の頭に浮かんだ絵と、里穂の言動を結びつけた結果、「だろうな」に繋がったのかと。
設定ではまだ若いです。30代の男やもめ。名前はまだ無い(笑

chachaさんへのお返事にも書きましたが、写真は文京区にある東大地震研のほぼ真ん前に建つお寺です。ですが、物語では御茶ノ水の設定にしました。好きなんですよ。御茶ノ水駅。ホームの目の前を流れる深い川、両脇にかかる石造りの眼鏡橋を見上げていると、渓谷の向こうから泳ぐように総武線の電車がやってくる。美しい!あ、別に僕鉄っちゃんというわけではないですよ♪

そんなこんなで、あの辺をお立ち寄りの際には是非いるか堂に立ち寄ってみてください。もしかしたら、怪しいサラリーマンがiphone片手に写真を撮っているかも知れません(笑

>chachaさん

どもです♪
いやはや、何せ仕事ばっかの生活が続いたじゃないですか。
おかげで通勤途中の頭の中は趣味=物書きのことでいっぱいでしたよ。
書かせろー
俺に小説を書かせろー
書きたい書きたい書きたいうるぁぁぁぁああああ
みたいな(笑
そんなわけで偶然閃いたまでです♪

chachaさんのコメント嬉しいですよ!!
この小説のコメントなんかもう最高にハッピーでした。
これはchachaさんに限らずですが、コメントを読んで初めて気付くこともたくさんあります。ほんと感謝です。
みなさんお忙しいですよね。
もし、掌編小説ならなんとか、ってことでしたら、今度は是非kazuさんにお題を頂きたいと思います。
ね、kazuさん♪

こんにちは!!

お知らせくださってありがとうございます!!
そして、お仕事お疲れ様でした。
やっとこちらの世界に戻ってきてくださいました(笑
掌編小説!!ですか、これが!?もっと続かなきゃダメでしょ~!!
続き欲しいでしょ~!!
と、お預け状態ですっ♪
さすが、楓さん。リズム感よくてとんとんと引き込まれ、面白くて、でも細やかな情景を忘れない♪
シリーズ化♪うふふ。すっごい楽しみです!!
「一話完結型」は、テレビドラマでも人気ですし。同じ設定、同じキャラクターでも、毎回違う味が出せるという♪その上、回を重ねるごとにキャラクターたちにも変化が起こっていく♪ああ~魅力で一杯ですよね♪
次回はどんなお題になるのかな~♪
私もそろそろ、広告来ちゃいます(苦笑)
妄想だけでもこねておこうかなぁ~♪

はぁい♪

すみません、調子に乗りました!!←平謝り

御茶ノ水っ♪
どこ食いついてんだって感じですが(笑

御茶ノ水の予備校に冬期講習で通っていたので、とても懐かしくて^^
御茶ノ水、好きです。
駅の隣の川に架かる聖橋、レモンかじって放り投げたらホームの方々から怒られそうだと、さだまさし好きな私はよく考えていました(笑
すみません、マニアックで!
最近行ってないなぁ、雰囲気に浸りに行きたいです。
お寺さん、今度行ってみます。
ビーズ屋の紙袋持って挙動不審な女がいたら、私かもしれません(笑

掌編小説!私も妄想こねこねします~^^
お題…!これは、責任重大!開催までに考えねば♪

>らんららさん

こんばんは。
こっちの水は美味いですね。やっぱいいぜ!
掌編小説です!
でも、明らかに続く感じが邪道(笑
まあボルカノも久しく書いていませんし、また様子を見ながら、ちょこちょこ書きためては更新、て感じでやっていきたいです。
シリーズ短編て実はやったことないので、ちょっと楽しみ。
そうそう、毎回ゲスト的なキャラを登場させたいですね。
もちろん、固定キャラも少しずつ増えることでしょう。
ああ、書きたい。
広告!!
あれは嫌な物ですね。
僕もやっと消せたところですし、せめてヤツが出る前には更新を続けていきたいっす。
コネコネしてください~♪

>kazuさん

え?
なんで平謝り???
予備校!!!
えー!
いったい何年前のがふっ←背後から蹴りが(笑
さだまさし!
くまだまさしじゃなくてさだまさし!をい
知らないなあ、そんな歌があるのですね。御茶ノ水の?
いやはやしかしいいところです。
今週も行く予定なので、写メ撮れたら貼り付けますね。でも、ちょっと恥ずかしいんですよね。人多いし(汗

お題、考えて置いてくださいね。
じきに「お願いします~」って挨拶に行きますので♪

No title

おお、復活されたのですねー。お待ちしておりました♪
ボルカノの更新も待っておりますよ。急かしてはいません♪ 楽しみに正座して気を長く待ってます。

こちらの掌編小説は続きがあるそうで♪
面倒くさがりながらも人の良さそうなお坊様。いいですね、こちらも楽しみにまっております♪
明美ちゃん、誰よ(笑)
もくもくと妄想が広がります。

>くらちゃん

こんばんは。
何とかここに戻ってこれました。待っててくださってまりがとう!
ボルカノ、更新したいんですけど、ナカナカそこまでまだたどり着けません。
実はあれ、ここからってところで止まってるんですよね。
前夜……なんですよね。
遊馬と杏が結ばれた夜、旅館星街である出来事が起き、そしていよいよ有珠が鳴動を始めます。
これからなんですよっ!
今まで書いてきたことはすべて、ここからの物語の序章に過ぎないというのに!!!
ま、しかたないです。
もう少し落ち着いたら書き出したいと思います。何せ今はストックゼロです。書いたそばから公開という暴挙に出ねばなりません。それは拙い。

いるか堂の坊主はまさにそんな感じです。
人と係わるのが嫌で、自由に生きたくて、なのに人が寄ってくる。面倒くさいのに結局巻き込まれる。重い腰を上げる。不運?なことに自分にしかできないだろうことがあることを彼は知っている。

明美ちゃん(笑
誰か食いつくかなと思っていたらくらちゃんだった♪

おつかれちゃん&おかえりちゃん

こんばんは~☆

あ~気になる要素満載なのがまたいいっ!!
ってか気になる~先が。
けど好きです、わかりすぎないところが。

シリーズ化、大いに期待
めっさ楽しみです♪

無理せずボチボチね~

>なぎちゃん

久しぶりじゃー!
ええでしょ?
この気になる感じが。
微妙なさじ加減?の放置プレーってところかな。笑

シリーズ化、予定です。
予定ね。
まだぜんぜん書けるところまでいかないけんねえ。

ぼちぼちがんばるです♪
さんくす
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楓 十色

Author:楓 十色
仕事との両立に悪戦苦闘しながら、それでも物書きを止められない人。工学博士(防災工学専攻)、技術士(建設部門)。

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